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「老後の住まいをどうするか考えておこう」などといっても、現実問題としては、今の住宅ローンのほうが気になって、考える余裕などないものです。 それに、住宅ローンが完済できたら、今度は、老後の生活を快適に過ごすために、どういうリフォームをしようかなどと考えるのが精一杯で、住み慣れた家を離れることなど、考えられないものです。 しかし、最期は、最愛の妻を亡くしたり、あるいは最愛のご主人を亡くすことは、避けることはできず、そのうえ、体も不自由になって、自分ひとりでは生活できなくなる日は、必ずやってきます。 介護してくれる子どもさんやパートナーがいなければ、老人ホームなどへの住み替えを余儀なくされることだってあります。 賃貸の場合も同じです。 運よく高齢者専用住宅に入居できていても、ほとんどの場合、介護スタッフがつくわけでなく、要介護状態になった場合には、老人ホームなどへの転居が必要になることもあります。 転居せずに介護サービスを受けることもできますが、毎月の賃料に加えて介護のための費用が必要になるため、老人ホームへ入居するよりもかえって割高になる可能性もあります。 持ち家であっても、子どもが巣立ってしまうと、2階は必要なくなるし、庭や家の掃除も大変になり、ライフスタイルも変化してきますので、住まい方そのものの変更も余儀なくされることがあります。 今は、住宅ローンの支払で頭がいっぱいになっているかもしれませんが、退職後の長い生活の中では、どんな環境の変化、心境の変化が待ち受けているかもしれません。 ですから、今の住んでいる状態をそのまま維持するのが最善かどうかも、今後、分からなくなることだってあります。 よく孤独死が新聞記事に載っていることがありますが、住みなれた家であっても、妻に先立たれた夫などは、ふだんから近所とのコミュニケーションをとっていないことが多いので、孤独死の心配だってあります。 ですから、自分の健康状態や、子どもさんとのコミュニケーションの状態などをいろいろ想定して、老後の住まいのシミュレーションをしておくことが大切で、いざという時には、住み替えも思い切ってやる必要も出てくるでしょう。
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