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リタイアすれば、基本的に仕事上でのつき合いの人間関係は、ほとんどなくなるものです。つき合う意味がないからです。もちろん、退職しても、職場で、仕事を離れたつき合いをしてきた仲間がいれば別ですが、もともとビジネスの世界は競争社会であり、周囲の人間は皆ライバルであって、お茶飲み友だちの関係は構築できないようになっています。 ですから、リタイア後は、肩書きもすべて取っ払って裸の関係でつき合えるような友を見つけることが先決です。 なぜなら、リタイア後の生活がおもしろいか、つまらないか、充実しているか、むなしいか、そのカギを握っているのが友だからです。 月に一度か二度、誰からともなく誘い合わせて、一献酌み交わす。 これは、まさに人生最高の至福ではないでしょうか。 他愛のない話をしながら、時間がゆっくり過ぎていくだけですが、これが心を潤してくれるし、かけがえのない楽しみにもなるものです。 そんな友との時間が心地よいのは、仕事からまったく離れたたつき合いだからです。 仕事上での人間関係は利害が自然に絡んでくるし、たとえ会社や職場が違ったかつての学生時代の友人といっても、これまでの社会的立場の上下関係が気になるし、あるは所得や収入関係なども気になって、なかなか腹を割ったつき合いはできないものです。 しかし、お互いにリタイアした関係であれば、地位も肩書きも関係ないから、文字どおり、裸のままの男同士のつき合いになり、無理のないつき合いができます。 たとえ、お互いの生活環境がかなり違っていたとしても、大人としての分別がありますので、気取らず気張らず、日常会話を楽しみながら、うまい酒が飲めるのです。 それでは、どうしたらそういう友を見つけることができるのだろうか。 人間の性格は「三つ子の魂百まで」といわれるように、社交的な人は死ぬまで社交的であり、引っ込み思案な人は棺桶に入るまで引っ込み思案で、年齢を重ねても性格が変わることはありません。 ですが、たとえ引っ込み思案で話し下手であっても、コツさえつかめば問題ないのです。 それは、地域の会合でも、趣味の集まりでも、あるいは何かのイベントでも、出会った人と話す際には、相手の話に興味を持って肯定してあげることです。 たとえば、相手が釣りの話をしてきたら、たとえ釣りが嫌いであっても、「どちら方面で釣りをされるのですか」「海釣りですか、川釣りですか」「今なら、どんな魚が釣れますか」というように、相手の話を折らないで、相手の興味を引き出すように話を進めていけば良いのです。自分の好きなことに相手が興味を示して、その相手を嫌いになることなどないのです。 |
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