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★ 遺言書を書くことで意思を反映できる モメる・モメないは、遺産金額の多い・少ないには関係なく起こります。 たとえ今の家族関係が良好で財産が少なくても、家族内で財産を分けるとき、不公平と感じる人がいれば、大きな問題に発展する可能性はゼロではありません。人はいつか必ず亡くなりますから、あらかじめ対策を立てておくのがいいでしょう。 しかし、子が親に直接、相続に関する話を切り出すのは気が引けるものです。あえて親から話を切り出すのがやさしさかもしれません。 親としては直接、子どもたちと相続について話し合いづらいなら、法的に効力を持つ「遺言書を書く」という方法があります。 遺言書がなければ、法定相続人が相続しますが、被相続人の遺志を書面にした「遺言書」を残すことで、被相続人の意思に基づく相続を行えるようになり、法定相続人間ではない人に財産を残すことも可能です。 遺言書は単なる遺書や口約束とはまったく地がいます。仮に被相続人が亡くなる前の病床で「自宅は妻、現金は息子、株式は娘に」と言っても、死後に裁判沙汰になったときに最期の言葉に法的効力はありません。 それに対し、遺言書は法律上認められた書面で、原則として遺産は遺言書のとおりに分割します。しかし、法的に効力のある遺言書を作製するにはさまざまな決まりごとがあります。 遺言書には、以下の3つの方式があります。 1つ目の「自筆証書遺言」は、文字通り、自筆で書く遺言書で、最も手軽に書ける遺言書ですが、専門家などにチェックしてもらわないと、無効になる可能性があります。 2つ目の「公正証書遺言」は、公証役場で証人2人以上の立会いのもと、公証人に遺言の内容を伝え、それを基に公証人が作成する遺言書です。手続きは面倒ですが、無効になる心配がありません。 なお、未成年者、推定相続人、推定相続人の配偶者および直系血族、受遺者(遺言で遺産をもらう人)、受遺者の配偶者および直系血族は証人になれません。 3つ目は、あまり一般的ではありませんが、「秘密証書遺言」という方式もあります。 遺言書はいつでも、何度でも書き直したり、撤回することができます。仮に複数の遺言書があり、内容が矛盾していれば、最新のものが有効になります。 遺言書を書いても、その内容が執行されなければ意味がありません。遺言者が亡くなったあと、その内容に沿って財産の引渡しや名義変更を行うのが「遺言執行者」です。必ず指定する必要はありませんが、遺言で指定しておいたほうがいいでしょう。 遺言執行者は相続人になれますが、相続人を遺言執行者に指定する場合は、ほかの相続人と利益相反の関係にならないよう考慮したほうがいいでしょう。 遺言を執行するのはとても大変です。一連の面倒を避けるために、遺言書作成から遺言書正本の保管、遺言執行を代行してくれる「遺言信託」という金融商品を利用する手もあります。
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