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退職金の税金、退職後の住民税の手続き


【ここがポイント】
・ 退職金は「退職所得」となり、所得税が源泉徴収される
・ 住民税は後払いのため、退職した翌年の支払になる
・ 65歳以降の住民税は、年金から天引きされる



★ 退職金総額から控除額を差し引いた額が課税対象

「退職所得」とは、退職により勤務先から支給される、一般的に退職金と呼ばれるものです。

収入金額(退職金総額)から退職所得控除額を引いた額の50%が課税対象にあたる「退職所得」になります。

退職所得控除額は勤続年数が長いほど増え、障害者になったことが原因で退職した場合、100万円が加算されます。

また、社会保険制度などにより退職に基因して支給される一時金、適格退職年金契約に基づいて生命保険会社などから受ける退職一時金も、退職所得になります。

適格退職年金契約に基づいて支給される退職一時金に、納税者自身が負担した保険料または掛金がある場合には、支給額のうち負担した金額を差し引いた残額が収入金額になります。

退職所得は分離課税といって、原則としてほかの所得と分離して税額を計算します。

退職手当などの支払の際に「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出すれば、会社が所得税額を計算し、正規の所得税額が源泉徴収されるため、確定申告は必要ありません。

一方で、「退職所得の受給に関する申告書」の提出をしなかった場合、退職手当の支払金額の20.42%が源泉徴収されます。この場合、確定申告を行うことで、還付されることもあります。


★ 退職の翌年以降の住民税は普通徴収に

その年の深刻や年末調整で納税額が確定する所得税に対し、住民税は後払い方式です。

住民税には「普通徴収」と「特別徴収」があり、ともに12月の年末調整時に市区町村に給与支払報告書を会社が提出し、そこで税額が確定します。後払い方式のため、退職した年の支払は翌年に発生します。

給与から天引きされる特別徴収の会社員とは異なり、退職後は普通徴収になり、納付期限は原則として6月、8月、10月、翌年1月中で、市区町村が定めた日までに支払います。

会社員時代とは変わるため注意が必要です。65歳以降は住民税は年金から天引きされます。



退職所得の課税対象額の計算
(収入金額−退職所得控除)×1/2
  =課税対象となる退職所得額
【退職所得控除額の算出】
勤続年数 退職所得控除額
20年以下 40万円×勤続年数(控除額が80万円に満たない場合は一律80万円)
20年超 800万円+70万円×(勤続年数−20年)


実際の退職金と退職所得控除額から
算出される納税額

例1
勤続年数10年8ヶ月
退職金300万円の場合


【300万円(退職金)−300万円(退職所得控除額)】×1/2⇒0円(納税額なし)

退職所得控除額
40万円×11年(勤続年数)
=440万円>300万円(退職金)⇒300万円

例2
勤続年数40年
退職金3,500万円の場合


※「退職所得の受給に関する申告書」を提出しなかった場合

【3,500万円(退職金)−2,200万円(退職所得控除額)】×1/2⇒650万円(課税対象となる退職所得の金額)

退職所得控除額
800万円×70万円×20年(勤続年数−20年)
=2,200万円

実際の納税額
650万円×20.42%(源泉徴収)
=約133万円

※「退職所得の需給に関する申告書」を提出した場合、(650万円×20%−42万7,500円)×102.1%=約89万円となる。なお、これらの計算は、国税庁の「退職所得の源泉徴収額の速算表」から求めた割合と控除額を使用。

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