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仕事をしてきた人ならお分かりのように、商談などは自分の根拠地である会社や自分のオフィスで交渉するほうが、落ち着いて進めることができるように、人間は自分の居場所に戻ってくると心が落ち着いて元気も出てくるものです。 プロ野球でも、自分のホームグラウンドで試合をするほうが、勝率が良いという結果か出ているように、相手の根拠地では心が落ち着かず、またストレスもたまるなど冷静な判断ができにくいのです。 人は定年退職してしまうと、急に老けたようになったり、あるいは現役の時のようなキリッとした生活感が漂わず、ただぼんやりと生きているだけという印象になることがあります。 それは自分の働いていた根拠地である会社やオフィスがなくなってしまったため、生きる心の拠りどころが消滅したからです。 ですから、退職しても、心が落ち着けるような居場所づくりが大切で、これは退職して急に見つけられるものではありませんので、50歳を過ぎた頃から、そういう居場所を作っておくことが必要です。 歳をとると、自分のことだけではなく、自分を取り巻く環境にも、悲しいことやうれしいことなど、さまざまな出来事が走馬灯のように巡ってきます。 たとえば定年退職にともなう人間関係の変化もあるでしょうし、その頃には子供たちも卒業し就職シーズンを迎えて悲嘆したり喜んだりすることもあるでしょう。また、悲しい出来事としては、妻や兄弟が自分より先に死んでしまうことだってあります。 自分のことでいえば、若いときのように無理が利かなくなってしまうなど、心がめげてしまうようなことが、次から次へと押し寄せてくるものです。 だからこそ弱ったときに潜り込むことができる「心の居場所」が、人には必要なのです。 もちろん、疲れ切った心を癒してくれるのは、家族がいる家庭であることはいうまでもありません。 「男は敷居をまたぐと七人の敵がいる」という諺がありますが、多くの敵を前にひるまず闘うことができるのは、家族が待つ自分の家があるからです。 ただ、定年後は、家庭が自分の居場所だと思っていても、これまで気楽にやってきた妻にとっては、妻の居場所がなくなる可能性もありますので、少しずつ妻といっしょに過ごす時間を増やしておくことも大切です。 さらに、家庭を第一の居場所だといっても、ひとりで息抜きしたいこともありますから、心の落ち着けるような喫茶店とか居酒屋なども見つけておきましょう。 |
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